感知力

明日は雨かなぁとウッコに尋ねる 空を見上げていると聞こえてくる 僕(ウッコ)は予測はしないんだよ 雨になる前に仲間達と動くのだよ 自然の微変化を感知し動くのだよ 明日は雨かなぁと 隣人に尋ねる 空を見上げていると隣人が応える 今朝の天気予報によると晴れだよ 晴れなら 洗濯をたくさんしよう 隣の家でも洗濯機が回りはじめる次の朝、ウッコ達と菜園にいると 蛙が鳴き始めたので空を…

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穂含月(hofumizuki)

初老否中老否長老否中長老 初めてトマト山の茎を登る 初夏とは言え穂含月の日に 初鳴きの蝉の声を聞き乍ら 腰の手ぬぐいを揺らしては フーゥー フーゥーと登る 薄き緑の道は空に透き通り 実を結ぶ稲穂が揺れている ポッケからバーボンを出し ほんのちょぺっと口に含む 未知の世界に引き込まれて 四方の世界が身近に広がる いつでも全力で生きてきた 若いときの力はもう下り坂 …

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TEKO(てこ)

テコのテは テロのテ テコのコはコロナのコ テコは小さい力ながら 大きな影響をもたらす その力がプラスなのか マイナスに働くものか そもそも プラスとか そもそもマイナスとか 何に対して言うものか 人間中心に考えるのか いつの時代も人間中心 そもそもそこが問題だ 人間の冷暖自知たる力 素晴らしい力でもある が、同時に欲望も生む 欲望が人工の物を産む 人工物が複…

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遠い日

やま桜の畑に向かう中腹に 海と空を一望する野がある 切株に腰を下ろして眺めて 「十年は一昔あぁ暑い夏」 と口ずさみ 遠い日を思う 夏になると思い出す遠い海 オーシャンブルー浄土ヶ浜 さっぱ船影が雲遊萍寄する 三陸の幻想の景色に重なる 涼風が急坂を昇りはじめる その涼風に乗って宙に浮き 翼を靡かせて海と空を飛ぶ 三陸の壮観な風景が広がる 大きく息を吸って抱え込み 遠…

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夢の旅

いつもそうであるように彼方に暮れゆく水平線は 穏やかに海を抱えている 床に寝ていてもベット毎 ふんわりと浮いては沈み 旅する気持ちに誘われる 車窓は静かに暮れていく どんなにも楽しい日でも 陽が落ち闇に覆われると もう朝は来ないのではと 不安になってしまうのだ 目覚めると移りゆく景色 幼年に見た景色が流れる 電車は海辺に沿って走る 景色も事も流れ行くまで 吾の…

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