描く農夫

野菜の成長を眺めていると 時を遅らせることができる 畑に向かい描き続ける農夫 悠々湧き生まれる 夏の雲 磯かおる潮さわぐ 夏の風 蒼翠を照らしむる 夏の光 またもや戻ってきた暑い夏 またもや血が動きはじめる あの空を越えて海を越えて それから あの山も越えて 注ぐ光から色をとり寄せる 園芸は絵描きに似て楽しい ゆっくりと深呼吸をしてみる う~む・・じつにほろあまい …

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詩  鏡

「さよならをするために」 この歌はなかなか奥が深い この歌詩が鏡とするならば 若い私は鏡に映らなかった もし 私の姿が 曇りなく 鏡に 映るその朝には 降っている雨も 吹いている風も 鳴いている雛も 庭さきの草花も 流れ散る白雲も 寄せて引く波も 輝き溢れる光も 宇宙の森羅万象 みんな君であり はなしかけると こたえてくれる☆ 年を重ねると見えぬ物が 見…

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雨の菜園

楽しいことの一つ菜園に雨が降ること 雨の中にいる私がこの上もなく好きだ 合羽ズボンは長靴の外に出すのがいい 合羽ズボンに長靴が抱かれるのがいい 合羽ズボンの長靴姿がたまらなくいい 合羽ズボンの長靴姿で菜園巡りがいい 合羽ズボンがいつも長靴を抱いている 履くときにはゆっくりと足を入れいく 腰の部分まで合羽ズボンを引き上げる スタートが実に簡単ですぐ畑に行ける 雨の中で生活し…

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面  影

今、養老渓谷を歩く 山々の端をかすめて 風と共に舞いながら 養老川に降りてきた 新緑の紅葉を眺める 川底をすべる紅葉は 去る秋に舞い降りて 時を経て流れている 声かけて爪先止まり 振り向けば頬染めて 戸惑い恥じらう紅葉 遠日の面影に重なる 光輝く水面に映える 愛おしく寄添う二人 行く人も 来る人も 未来永劫微笑み祈る

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微  酔

久しぶりに古都鎌倉を歩く コロナ禍が 漸う静まるか 行く人も来る人も皆微笑む 腹も空いたし喉も渇いたし うなぎ屋の前で足が止まる 煙美に誘われ暖簾をくぐる まずは熱燗を一気に飲乾す 禍の淀む気持ちが流れゆく 空きっ腹に流れ染みわたり 今 吾はどこにいるのかと 軽い目眩の中で問いかけて 見下ろすと足が消えかかる あらら あらら 左前かと 我が身を見れば 尋常なり 鰻…

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奇  跡

  土のぬくもりは母なる優しさ 七色の光は父なるたくましさ 夏空にささやく風は優しさと たくましさを畑に連れてくる ナスの葉に ダイズの葉にジャガイモの葉に トウモロコシの葉に 梅雨の潤いは山から谷に下り 平野に出て緩やかなる大地で 優しさとたくましさに出会う ナスの根に ダイズの根に ジャガイモの根に トウモロコシの根に 今日も私は それらの奇…

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