写  心

紫陽花が咲きはじめる 置き忘れた写心 鎌倉山を登るあなたの後ろ姿 夢中に追いかけて登るわたし 心を浮き浮きわくわくさせて 鎌倉山に声と姿を求めて登る 明暗の風と虫や鳥たちの気配 あなたとわたしの息づかいは 無限の山道を登り詰めていく 置き忘れた写心 源平の池に映る ふたつの姿 水面に浮く蓮に向けて迷わず 瞼のシャッターを切った一枚 暗闇に浮く水面のふたつの姿 あの…

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残  像

岩手の花泉と花巻とは 77㎞程 離れている 歩いて行けば夕方には 会えるような気がする 床につき疲れた身体が 無限の闇へと向かう頃 漸次に光が闇に消える 昼の残像は賢治の後姿 ずいぶんな歳になって ようやく後姿が見えた 誰もが歳を重ねゆくと 見えてくるものなのか 自未得度先度他というが 我を忘れて自然に溶ける 床なる自然に抄き込んで 峰の色と谷の響を楽しむ ☆…

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時間よ!止まるな!

時間よ!時間よ!止まれ! 時間が止まると言うことは どういうことなんだろうか 録画の一時停止ではないか でも よ-く考えてみると 時間が止まると言うことは 一時停止でなく 電源OFF 後も先も無く静止でも無い 恐らくそこは真っ暗なのだ 吾一人 畑での出来事 鍬が地へと向かうとき…

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花 筏 (hanaikada)

散ったら散ったで 心穏やかにならず 水面に映る桜並木 夢の花筏の初出航 此岸彼岸の花達も 春息吹に喚起され どちらに咲いても 散る先は夢の花筏 乗っている地球は 銀河に流れる花筏 此の人も彼の人も 万物も奇跡の事象 病という苦しみも 死という苦しみも あい受け入れれば 夢の花筏は現なり

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平穏希求

ちいちゃなクモちゃんに会う 草刈りの手の甲にちょこんと 乗って腕から肩へと歩み寄る いつもの空を眺める者同士の お気に入りのハットにのぼる 2022年という波乱の年に 誰もが思い煩う感染症と戦争 避けられない苦しみと悲しみ 満たされない欲望による戦火 等々が宇宙の片隅でくすぶる …

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Madoromu

散りそうで散らない 散らないようで散る そわそわの田植え時 我が心浮きし危うし ムスカリの珍花が 咲いている野原に 両手両足を広げて 桜空に浮いてみる 山ごぼうの幼葉が 日増しに濃くなり ジャガイモの芽が 敷き藁から現れる 浮いては 微睡みたい気もある 起き上がって畑の世話もしたい 待ちに待った穏やかな春なのに まどろい満ちて日は暮れてゆく ※ 春が来た 春が…

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ソメイヨシノ

愛するさくらよ いつも寄り添い 気持ちが躍るよ あなたの笑顔は 数多老若男女の 人々を和ませる 笑う度 舞う花弁の 光と影に 抱かれて 北へ北へと歩み行く 追いかける我が想い 愛しいソメイヨシノ 南から北へと和み 人を魅了させては 染めていくさくら 貴女の念いは和平 和むソメイヨシノ

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